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平成9年2月19日富山県伝統医学セミナー講演
今日は「漢方と食養生」というテーマでお話する機会を得ました。なぜ、こういうテーマになったかといいますと、健康プラザの方が来られて、「漢方の難しい話はどうも受講者につらいから、食事の話がいいのではないか」という話になりまして、本当に気楽に引き受けました。ところが、セミナ−の日が近づくにつれて、「申し込みの人数が多い」などいろいろ耳に入ってきました。これは大変だとばかりにここ数日は、「食養」というのは本当は節制ある生活をしなければいけないのですが、大変不養生な毎晩を送るはめになりました。やはり、遅寝はいけませんね。早寝早起き、大体古来から長生きした方は皆さん早寝早起きです。タバコなども喫ってはいけません。お酒もほどほどにしなければいけませんが、締め切りが近づくにつれてどんどんお酒の量が増えていきます。よくないですね。「そういうことが本当はいけないよ」という話なのですが、それでは身もふたもありませんので、少し古典的な話も踏まえてお話したいと思います。
私の話の「食養生」というのは、いろいろな人がいろいろなことを言っていますが、大体共通しています。その共通しているところは何かといいますと、実は漢方医学にも共通しているところなのです。つまり、理論的には漢方医学の「陰と陽」がやはり大事なのです。本日はこういう話から始めます。前半は漢方の話、後半が食養の話、最後に少しだけ運動の話と、大体そんな構成です。
まず、「漢方」ということばについてです。何気なく使われていますが、どういう意味だと思われますか。これは「漢の時代の処方」、あるいは「漢の時代の医学」という意味です。
ですから、漢方医学といいますと「医学」という意味が2重になるのですが、通常「漢方医学」と言っています。どうして金や元や明ではなく漢なのかといいますと、漢の時代にいわゆる漢方薬の基本理念が大体定まったわけです。その本を『傷寒論』と言います。その理論が大事なのです。
漢方薬というのはいろいろな影響を受けていますが、一番影響を受けているのは中国の料理だと言われています。「医食同源」という言葉は、皆さんご存じだと思います。実際漢方薬というのは、私どもがふだん食べている料理を、相当、薬として使うことが多くあります。例えば、米を使います。あとで出てきますがアズキ、ネギ、サンショウ、シソの葉、これらは全部漢方薬として使っています。それから、ちょっと変わったところではナツメ、お年を召した方などはよくご存じでしょうね。50代ぐらいの方は、小さいころお菓子として食べられたのではないかと思います。かぜ薬に使います。それからミカンの皮。ミカンといっても、品種改良したビタミンCの少ない今のミカンではありません。昔の小さい酸っぱいやつで、その皮を使います。胃の薬にもなります。八ツ橋などで有名なシナモン(桂皮)、こういうものも使います。
それから、めったに使いませんが、産後の弱った婦人に羊の肉、それとトウキというセリ科の植物とショウガの3つを煮たという薬があります。これなども『傷寒論』に書いてある薬ですが、むしろ料理のようなものです。こういうもので栄養をつけて治せということが書いてあります。「漢方」と言いますと、皆さんは植物しか使わないとお思いかもしれませんが、そういうことはありません。本来は動物も相当使います。しかし、日本ではあまり動物は使いません。今は、ワシントン条約その他の関係で、輸入しにくいという制限がありますが、実は昔からそうなのです。江戸時代もやはり動物性の生薬というのは、なかなかに値段が高かったり、いろいろご禁制だったりして入ってこなかったということで、日本では植物を使った漢方が主として発達しています。日本と中国の漢方はかなり変わっています。中国は量をたくさん使います。日本は量を少なくして、タイプをよく診て効かせようという使い方をしています。
大根も薬として使います。大根は漢方薬では別の名前があります。「莢ふく」ライフクと読みます。これは大根のことです。立派な名前でしょう。それからもう一つ、「胡蘿蔔(コラフ)」これは何でしょう。ニンジンです。朝鮮人参ではありません。毎日食べているニンジンです。これは江戸時代の『和語本草綱目』という岡本一抱が書いた本の中に出てきます。ただ、ニンジンということばではなく、コラフとして出てきます。これがどういう作用があるかについては、またあとで述べることとします。
食物を薬として用いる一方で、漢方は毒薬も使います。トリカブトってご存じですか。この前も保険金殺人事件で使われたなどと言われていました。本当かなと思っているのですが、非常な毒薬で、しかし、実は体のとても冷えた人を元気づける薬なのです。このような話があります。「ある権力者が憎らしく思っている男を牢屋に入れました。毎日毎日食事を抜いて、早く死なないかなと待っていましたがなかなか死にません。だんだん弱ってきたので、ようし、そろそろここで殺してみよう、というつもりで、食事にトリカブトを混ぜました。そうしたら、何と、その囚人はむしろ元気になってしまった」という本当かなという話がありますが、そういう新陳代謝の衰えた、冷えた人に使うと、薬として効いてしまうのです。しかし、元気のいい人に使いますと、これは毒薬となります。もちろん、これは毒薬指定になっています。
今、お話したことに実は漢方のヒントがあります。新陳代謝の衰えた人、これを「陰の人」と言います。陰陽の陰です。また、顔色が赤い、がっちりした元気そうな人、これを「陽の人」と言います。こういう人にはまずタイプを見て、そのうえで薬を変えていきます。これが漢方の基本理念です。かつ食養の基本理念でもあります。こういう考え方は、実は本当は珍しい話ではありません。常識レベルの話なのです。なぜか今の日本では珍しい話になってしまうのですが、本当は、実は別にどうってことない話であろうと思います。
(以下、スライド併用)
漢方の治療原則ということですが、「陽の人」「陰の人」の2つに分けます。これは昔の中国人の科学思想です。自然を見ると何があるでしょうか。昼があり夜があり、天があり地があり、山があり海があり、男と女がいる。常にこの世は2つの対立するものがあり、かつそれがバランスよく調和しているというところで、自然の正常な運行がなされており、それが何か乱れたときに病気になるということです。乱れたときはその足りない部分を補うか、あるいは余計な部分をそいでいけばいいというような発想が、大体中国人の昔の科学思想です。
医学においてもまさにそのとおりでして、陽の人にはむしろ冷やす方向の薬を使います。陰の人は新陳代謝を上げて、体を温める薬を使っていくという考え方です。これが陰と陽の話です。
これは先程お話した花ですが、何かわかりますか。これが鳥のとさかのように見えませんか。ちょうど鶏のとさかのような花を咲かせます。これがトリカブトの花です。どこに生えているかご存じですか。日本では北海道などで栽培されています。実は富山にもあります。立山連峰の、ああいった高い寒いところで咲いています。そういう寒いところにこのような体を温める薬、熱薬というものがあります。これも実は食養の考え方なのです。寒いところに温めるものがあります。逆に言いますと、暑いところでできるものは冷やすのです。そういう考え方があります。
もう一つ、最初は理解しにくいかもしれませんが、一応知ってもらいたい概念に「実と虚」というものがあります。虚々実々の駆け引きなどと言う、あの「虚と実」です。これは「陰と陽」とどう違うかといいますと、例えば「陰と陽」というのは、病気の時期だと思っています。つまり、陽なる人も陰になることがあります。陰の人も陽になることがあります。虚実というのは、陰陽を病気の時期としますと、そのときの体力の充実度です。ボクシングでいう白熱した度合いと言いますか、それが激しいものが実、激しくないものが虚です。 例えば、陽でも実と虚があります。陰でも実と虚があります。陽で実証でありますと、これはわかりやすいですね。つまり、体力がまだまだ余っていて、かつ病気も燃え盛っているようなものが「陽実」です。「陽虚」ですと、体力はまだあるのですが病気の勢いとしては少し弱いです。「陰実」になりますと、顔色も悪くなってくるのですが、まだ少し病気の激しさを残している。本当に弱ってくるのが、「陰虚」です。この4つの概念を使い分けていくのが漢方です。
最初のうちは陰陽と虚実がごっちゃになっても、少しも恥じることはありません。「実」に対してはその勢いをそぐ「瀉」という考え方でやっていきますし、「虚」に対してはこれを「補」っていくという考え方で治療します。平たく言いますと、栄養がない皮膚がかさかさ状態になりましたら、それを補っていくことを考えます。逆に血圧が高くて、はちきれんばかりにがっちりしている人は、その勢いを漏らしていくという方向に治療していくということです。
例えば、肥満の方にも「虚」と「実」があります。「実」の肥満の方は、結構よくやせられるものです。それは本人がその気になればですが、食事を減らすのは「瀉」になります。それから漢方では下剤も使いますが、そういうものに耐えられるのが「実」なのです。そういう人はうまくやせられます。しかし、「虚」している人で太っている人、いわゆる水太りタイプの人は難しいです。補う一方でやせなければいけない。こういう人は難しいです。大体、そういう人は何か食事に間違いがあります。「何も食べていない、私は水しか飲んでないけれども、なぜか太ってしまう」という人がいますが、ちゃんとおやつにはショートケーキを食べているという人が多いです。
さて、漢方の中でも食事と近い病理概念というものをお話します。それは「お血(おけつ)」と言います。「けつ」は血、「お」というのはやまいだれに於ると書きます。大変難しい字です。ワープロの第2水準をひっくり返してもこういう字は出てきません。昔から言われているお血という病態があります。その定義は「スラスラと流通すべき血が、何らかの原因によりつかえてスムーズに流れなくなった状態をいうことばである」というふうに、これは柴崎先生という方が言っておられるのですが、要するに病的な滞りということです。お血病態としてはどういう病気があるかと言いますと、虚血性心疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症といった、いわゆる血管の病気があります。それから腰痛症、坐骨神経痛、こういうものも局所の停滞、血がうまく流れていないから起こるのだということです。それから痔疾、便秘。これは文字どおり停滞しているわけです。あと不妊症、更年期障害にもこのお血という病態が多く認められるものであります。
お血の成因としては、いろいろな人がいろいろなことを言っています。例えば、七尾の開業医だった湯本先生という方は、大正時代のことですが娘を伝染病で亡くされて、一念発起して漢方の大きな本を書きました。その本は、日本のみならず、東南アジアでベストセラーになったそうです。これはもちろん昭和の一けたぐらいの時代の話ですが、その方は、お血については「遺伝や月経異常が原因だ」とおっしゃっています。大塚先生(大塚敬節:故人)(この方は昭和の漢方界のベートーベンのような方ですが)は、「熱が肝臓に入って起こる」と、今では理解しにくいことをおっしゃっています。それから、矢数先生(矢数道明)という方は、現代医学で指摘された「泥状血液が関係ある」とおっしゃっています。泥状血液というのは、実はあとでお見せしますが、僕らはこれを研究しました。
種々の原因で起きた肝毛細管の血液抵抗増加が門脈系へのうっ血をきたすという説、要するに血が停滞しているということです。あとは病巣感染、例えばどこか慢性に扁桃腺炎がある、慢性に虫垂炎がある(慢性とは変ですが)、そういった炎症巣を持っている、そういうものが原因だとする説、いろいろあるのですが、一番関係あるのは食事なのです。
スーパーで私が隠し撮りした写真(インスタント麺が並んだ棚の様子)です。別に隠さなくてもいいのですが、やはりスーパーの店員さんにしてみれば、カメラを持って何をやっているのだろうと思うかなと思いまして。これはご覧のとおりインスタント食品です。こういったものをたくさん食べるとお血ができる、要するに食事ということです。食事が原因でお血が起こるということはかなり多いのです。
お血の研究について、うちの教室の話をちょっとします。
お血というのはどういう症状を呈するか。これは私の師匠の寺澤教授が、科学技術庁の研究でお血の研究をしました。科学技術庁も時々おもしろいことをやります。古来より、いろいろな人が、「これがお血だ」と言ってきました。みんな違うわけです。それをとにかく統一見解を作りましょうというわけで作ったものがこれです。いまだに反対する人もいますが、15年前に作ってからはだんだん支持されて、今ではこれが学界のスタンダードのようになっています。
それはどんなことかと言いますと、目の回りのくま、顔面のしみ、皮膚がかさかさ、唇の色が悪い、歯ぐきの色が悪い、べろの色が悪いなど、そのようなことです。それから右側はおへその回りの圧痛です。へその回りに圧痛がある、それもあとで話しますが、実はこれは日本独特の見方です。月経障害、痔。男と女で少し違いますが、それぞれ点数をつけまして、合計で20点以上はお血がある、40点以上は特にひどいというふうに診ることができます。
お血がある人のべろです。子どもですともう少し色がきれいなのですが、少し暗い、紫がかったべろです。これがお血のべろです。
おなかです。皆さん、今、座っていらっしゃいますので、当然、腹筋は緊張状態にあります。こういうときにへその回りを押して、痛いのはあたりまえです。これは患者さんを寝かせて、おなかを押すわけです。このへそに近い、大体二本指と言っていますが、それぐらいのところで押して抵抗、圧痛がある。ここはいわゆる虫垂炎のときの圧痛です。へそとこの右の出っ張りとのちょうど真ん中ぐらいですが、ここに抵抗、圧痛がある、ここは虫垂炎のときの圧痛点なのですが、これはお血のひとつです。その反対側、左側、腸というのはこういうふうに行きまして、ここで出口になります。出口近いところですから、便秘をすれば当然ここに圧痛は出るわけです。しかし、便を出したあとでもここに圧痛があるような人には、やはりお血があると診るわけです。それぞれいろいろな処方がありますが、基本的にどこかにこういう圧痛があれば、お血があると診るわけです。左側のお血はどうも肉食と関係があるらしい、右側はどうも果物や体を冷やすものと関係があるらしい、そういうことを言っている先生もいます。
実際にへそのそばを押しているところです。これは強く押しすぎですね。普通はここまで押さなくても、圧痛のある人は明らかにわかります。
漢方薬の話ですが、お血を取る薬は「駆お血剤」と呼んでいます。実証向けの薬、虚証向けの薬があります。ちなみに名前は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)です。名前などはどうでもいいのですが、要するに、当帰芍薬散は顔色の青白い人、極論しますと、髪の毛が長くてやせ型の美人、これが当帰芍薬散です。イメージとしてはそういう感じです。これが実証になってきますとかなり肉がついてきまして、この桃核承気湯あたりは筋肉隆々の農家の奥さん(と申したら言い過ぎかもしれませんが)(笑)、極端なことを言いますと、陽に焼けた健康そうなということです。そういう方は大体便秘がちなのです。桃核承気湯は大体そういう方によく使います。そういう感じで使い分けます。
漢方では、陽か陰か診て、あとお血があるかないか。お血があればお血の薬、そういうふうにして診ていくわけです。
このお血スコアというものを、ただ単に決めたのではないということをお話しします。血を採りまして、その粘り気を測ります。この機械はもともとは塗料(ペンキ)の粘り気を測る機械なのですが、それを少し精密にしたもので粘り気を測ってみました。そうしますと、やはりお血スコアの低い人は低いのです。そして高い人はどんどん高くなっていきます。そういうことがわかりましたから、決してこれはいいかげんではないということを証明できたわけです。
脳梗塞をやったあとは、いろいろな方がいます。「私は昔脳梗塞をやって」という方でも、全く何ともない人から、しびれたり、まひのある人など、いろいろいます。その患者さんたちのお血を見て、お血のない人、軽くある人、ひどくある人、3つのグループに分けました。そしてその症状、しびれやまひなどを見てみますと、やはりお血の高い人の方が症状がたくさんあるのです。お血がほとんどない人は症状もほとんどないということで、後遺症の発現などにもどうも関係があるのではないかという研究です。
お血を、実際に血がどろどろと泥のように流れているのかということを研究した結果です。人間の体の外から血が実際に流れているさまを、どういうふうに見るかといいますと、実は結構難しいのです。意外に見えないものです。よくテレビでウサギなどの血管の美しい映像がありますが、あれは全部特殊な状況です。耳をぴんと引っ張って固定して、そこに窓を作って顕微鏡をあてるということをやっていますが、人間の場合はそうはいきません。やったら人権蹂躙で訴えられてしまいます。ですが、見えるところが唯一あります。それは目の結膜です。私たちはここに光を当てて、そこに顕微鏡を作って見てみたのです。
こういう血管がありますよということなのですが、太さは大体40ミクロンぐらいです。この赤い点々は赤血球です。血がきちんと中を充満しているのが普通なのですが、このように隙間ができています。これはつまり赤血球が集まって流れているということです。これを赤血球集合と呼んでいますが、お血では赤血球集合が大変頻度が高く認められるわけです。
健康人の眼球結膜です。20代のお血も何もない人です。これが100 ミクロン、1mm(ミリメ-トル)の10分の1です。一様に、均等に流れています。
脳梗塞の患者さんの眼球結膜で、お血が強い人です。ところどころ赤血球同士がひっついて、固まっているところがあります。途切れているところもあります。このように映像でとらえると、まさにこれがお血なのです。
今度は少し症例をお話ししましょう。
食事と漢方とはどういう関係があるのかということを、アトピー性皮膚炎患者さんを3例出しまして、お話ししようと思います。最初の2例は漢方だけ、いわゆるお血の薬だけでよくなった症例です。3例目は、食事も併用してやっとよくなったという話をします。
アトピー性皮膚炎は大変増えています。なぜ増えたか。一番は、やはり生活環境がよくなったことです。アルミサッシの普及などで非常にダニが増えるようになったなど、いろいろ言われています。食事も相当影響があるだろうと言われています。これは長崎大学の皮膚科の統計ですが、30年前、1967年は外来患者の約1%ぐらいでした。それが10年後には5%になり、20年後には1割を占めるようになりました。つまり、20年間で10倍になっているという統計です。今では、これからさらに10年たっていますので、もっと増えています。
年齢層別にはどうなっているかと言いますと、縦軸が患者さんの数、横軸が年齢です。確かに若い層でも増えていますが、最近特に問題になっているのは20代以上で急激に増えていることです。20代の男性、女性の間にアトピー性皮膚炎が増えているということで、大変困って診察に来るわけです。皮膚科小児科にかかります。よくなればいいのですが、よくならない人が私どものところに来られます。
アトピー性皮膚炎の人全部がお血ではありません。これは漢方をやっていればわかります。お血が著名な患者さんとそうでない患者さんがいます。お血のある患者さんを一つ紹介します。
23歳の女性です。昔ぜんそくをやって、最近アレルギー性鼻炎もあるということです。アトピー性皮膚炎は2歳から始まっています。ですから、20年以上通っているわけです。今年になって急に悪化しました。焼けるように首が熱いと訴えてきました。IgEという免疫グロブリンがあります。これが普通は500 以下なのですが、この人は9300あります。ダニに大変アレルギーがあります。便通は2〜3日に1回です。体格は身長155 cm、体重60kgですから少し太めです。月経の期間が定まっていないということで、お血を疑うような症状があります。食事は肉は少なく魚が多い、しかし油が多いと言っています。油に関しては、食養家の先生方の中では、異様にゴマ油ばかりを使いたがる人もいます。少しなら私はいいのだろうと思っていますが、中には油もだめだと言っている人もいます。多いのは、まずだめです。おなかを診ますとしっかり充実していまして、お血もしっかりあります。陽証の実証ということです。
また、先程のおなかの絵ですが、この方は左側のへその横のところに、非常に強い抵抗圧痛があったということで、桃核承気湯という薬を出しました。
診察に来たときの様子です。この辺が非常に赤くなっているわけです。漢方薬は長く飲まなくては効かないというイメージがあります。しかし漢方を使う場合は、かかってからの期間が長くなってから使うことが多いので、長くかかるのです。急に来た病気には、早く効くわけです。この方は悪化してから3か月ぐらいでした。大変早くによくなった方です。次に、2週間後の写真をお目にかけます。今のものと比べて、赤みがとれたのがおわかりでしょう。
今度は1歳です。実は、この2か月ぐらい前から、この子にはいろいろな薬を使いましたが、なかなか良くなりませんでした。1歳ぐらいですから、おなかを押してここが痛いかと聞いても「痛い」などと絶対言わないわけです。わあ、きゃあとも言いませんし、体をくねらせ逃げ回るだけなのです。ところが、先程の女性と同じ位置の辺りを押すと、何か非常に嫌がるのです。これは「ひょっとして便秘していない」とお母さんに聞いたら、「していない。便通は毎日ある」と言うのです。便通が毎日あってここに圧痛があるのはおかしいと思いまして、桃核承気湯をやったらよくなったという例です。
1か月後の写真です。だいぶ皮膚がきれいになっていることがおわかりかと思います。塗り薬を替えたのではないかなどと思われるかもしれませんが、替えていません。この子はいわゆる皮膚に効きそうと言われる漢方薬をいろいろやったのですが、だめでした。桃核承気湯というのは実はお血の薬で、はっきりいって皮膚には効きそうもない薬です。ですが、お血を取ったらよくなったという症例です。
次の方は、漢方薬だけではだめだった例です。これはひどいですよ。25歳の男性で、3歳で始まって20年間ステロイド外用剤を使っていたのですが、ある日突然嫌になってやめてしまったそうです。その反動で非常に悪化しました。しかし、我慢して、その6か月後、少し落ち着いたところで診察に来られました。身長169 cm、体重60kg、少しやせ型ですが、それほどガリガリではありません。先程、IgEという免疫グロブリンの正常は500 以下と申し上げました。先程の女性は9000でした。この人は1万6000以上と測ることができないほど高い数値でした。おなかを診ますと非常にがっちりしていまして、やせてはいますが陽実証というところです。
顔の横から見たところですが、真っ赤でひどいでしょう。
次は、顔の正面から見たところですが、鬼みたいですね。
ひじもかさかさで、もちろんかゆみも強いです。
ひざの裏の写真です。このような、かさかさした皮膚です。
最初、これは漢方だけではうまくいかないかもしれないといって、やはり、桃核承気湯などいわゆるお血の薬と、あと皮膚に効きそうな薬を入れて、どかんと普通の人の倍ぐらいの量にして処方してみました。しかし、効きませんでした。1か月ぐらいして、あまり変わらないということで、これはしようがないから玄米菜食をやろうと、肉だめ、油だめ、砂糖だめ、それでやっていこうということになりました。そうしましたら、やっとよくなりました。
1か月後、ひざの写真ですが、先程のと比べるときれいになったでしょう。
顔の状態も、先程と同じ人とは思えないほどきれいな顔色です。
ひじもきれいになりました。
漢方をやっていますと、食事を正さないとよくならない人がいるのだということです。この人はまだ20代の男性ですから、その後一時期は正しくやるのですが、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、外に出る仕事ですから、ついカツやコロッケなどを食べるのです。そのたびに悪化してきまして、そういうときには「ステロイド外用剤を積極的に使おう」と言いましたが、「嫌だ、断じてそういうものは使わない」と言っています。ステロイドの外用剤には相撲の番付のようなものがありまして、前頭の十枚目ぐらいの弱い薬だからいいだろうということで、それはたまに使ってくれますが、それでもほとんど塗りません。
そうやっていくうちに、これを食べてはいけない、これは食べても大丈夫だというものが、自分でだんだんわかってきまして、1年ぐらいしたら皮膚もだいぶよくなりました。今はうちに通っていませんが、かなりよくなりました。その後も、ときどき食べすぎたりすると悪くなったなどということで年賀状をくれましたが、そういう症例です。
何にしても漢方でだめなときに、こういう玄米菜食や食養などを知っていると大変よいことがあるわけです。そのようなわけで、今日、私は食養の話をするわけです。
食養により改善しうる疾患として、現代の栄養学では、肥満、糖尿病、高血圧、あるいは肝疾患の一部、こういうものが食事でよくなるのは当然です。高血圧の方は塩分を控える、肥満の方はカロリーを減らす、糖尿病ももちろん身長に応じたカロリーにする、慢性肝疾患も肥満を伴った場合にはやはりダイエットをする、お酒などを控えるなどがあります。
しかし、アトピー性皮膚炎、慢性関節リウマチ、気管支ぜんそく、不定愁訴、こういう病気ではあまり食事との関連は言われていません。私もすべての患者さんが食事と関係があるとは思っていません。しかし漢方で診ていますと、食事を正さないとよくならないという人がいることは確かです。それはやはりお血が絡んだ方です。そういう方は、やはり食事を考えなければうまくいきません。
例えば、冷え性の方です。冷え性はよくいらっしゃいます。冷え性だけで診察に来ることはあまりありません。他の病気をもっていて、冷え性があるという場合が大半です。慢性関節リウマチを持っていて冷え性のある方は、冷やすものは極力避けなくてはいけません。ところが、こういう人に限って冷やすものが大好きなのです。
例えば果物です。果物は冷えます。こんな患者さんがいました。温める薬として先程の附子(トリカブト)をどんどん使いましたが、なかなかよくなりません。それで、「君、何が好きなの」と聞きますと、果物が大好物で「食べないと精神的に落ち着かない」という方でした。こういう人は良くなりません。僕にそう言ってくれるぐらいですから、「どれくらい食べるの」とは聞きませんが、聞いてもきっと本当のことは教えてくれません。おそらく、相当食べていらっしゃるのでしょう。
それから砂糖の類は冷やします。たいてい冷やします。冷え性の方で甘いものが好きな方はいっぱいいらっしゃると思います。
ここまで言いますと、「私はこの先この話についていけない」と思った方がいると思いますが、実は最初はみなさんそう思うのです。本当に果物でみんながみんな冷えるのかというと、実は人によって違うのです。だけど、そういう傾向があるのだと理解していただきたいと思います。本日の話は基本方針だと思ってください。個々には、いろいろな例外も出てくるだろうと思います。
今度は養生についてのお話をします。
養生とは何でしょうか。「生を養う」養生といいますと私どもはどうですか。安静にして、朝、昼、晩食事をして、その間じっとしているというでしょう。本当にそうでしょうか。本当に安静にして、寝ているのが養生なのでしょうか。そういうことを少しお考えいただきたいと思います。
『素問』という本ですが、これは2500年ぐらい前に中国で書かれた医学書の古典中の古典です。『黄帝内経』という本の中の本です。タモリが宣伝している「ユンケル黄帝液」というドリンクがありますよね。あの黄帝というのはおそらく想像の神様ですが、医者の神様なのです。「こうていないきょう」あるいは「こうていだいきょう」と言うのですが、その中の『素問』という本に書いてあることです。これは養生に関するエッセンスを述べています。
いわく「食飲に節あり」。食事と、飲というのはおそらくお酒だと思いますが、それに節度がある、食べすぎたり飲みすぎたりしてはいけないということです。
「起居に常あり」。起きたり、寝たり、これに常あり。つまり、規則正しい生活をしなさいということです。最近は職場でもあちこちでリストラが盛んでして、勤務時間が非常に不規則な方がおられます。そういう方をよく診るのですが、たいてい多かれ少なかれ何か体の不調を訴えています。それはそうですよね。仕事が夜の12時に終わったら、次の日は8時から仕事があるでしょう。夜勤を月に10日とか15日とかしていたら、大体病気になります。この「起居に常あり」は大事だと思います。
それから、「妄(みだ)りに労をなさず」。これは働き過ぎ、あるいはセックス(いわゆる房事過多などと言っていますが)をしすぎたりしてはいけないということです。これだけのことなのですが非常に難しいですね。「こういうことをやっていると寿命を縮める」とこのあと書いてありますが、ほとんど現代人にそのまま当てはまるような話です。この養生、節制ということが、いかに言うは易く行うに難しいか、昔も今もあまり変わっていないということがわかります。
また、これは同じ本ですが、春夏秋冬の四季に合わせた生活を送れと書いてあります。現代人には無理ですが、一応、読んでみましょう。「春夏秋冬、四季の運行と、それに伴う陰陽の変化は万物の始まりである。この自然の法則に逆らうと災害が生じ、従えば万事順調に運ぶ。これに従う者は生きながらえるが、逆らう者は死ぬ」。最後のところはちょっと笑ってしまいますが、昔の本というのは、とにかく印刷技術が今のようにきちんとていねいにはできませんでした。ですから、今10文字ぐらいかかる内容も、昔は1文字で済ませなければいけませんでした。したがいまして、ついつい、こういう極端な表現の文章が多いのですが、その心はわかりますね。
私どもの生活は2500年前に比べますと、冬は暖かく夏は涼しく過ごせるようになったと思います。しかし、それでも夏ばてはありますし、冬に手足の冷えに苦しんでいらっしゃる人はとても多いです。ここで言いたいことは、人間は本来はそうではなくて、何か自然の法則に逆らった生活をしているからそういった不調に陥るのだと解釈できることです。
よく元気、元気と言います。「気の元」と書きます。これは何かというと漢方医学ではこういうふうに考えています。気というのは目に見えませんが、働きだけがあるもの、これが「気」です。要するに天気、空気、あの気です。人間の体を流れていて、普通に流れていれば病気にならないのですが、流れが滞ったり少なくなったりすると病気になると考えられていたものです。
この気は3つの要素からなっています。1つは親からもらった「気」です。先天の気ですが、これを「腎精」と言います。「腎は先天の本である」と言われていますが、親からもらった気は腎にあると考えられていたわけです。2つ目が「水穀の精微」です。食べたものから得られるエネルギー、エッセンスという意味合いです。これは脾臓の脾にあると考えられています。脾というのは今でこそ網内系臓器ですが、昔は消化吸収の臓器は脾だとされていました。今では、これは膵臓や胃腸といった臓器に値すると考えられていますが、昔の本では脾ということになっています。要するに胃腸と考えた方がいいでしょうね。「胃腸が後天の本である」ということです。3つ目が「天空の気」です。肺は育伸の気をつかさどります。我々が吸っている空気、この気です。肺でこの3つの気がいっしょになります。いっしょになって初めて元気となり、全身をくまなく巡り、体中の臓器や組織の気となって人の生命活動の維持推進のエネルギーになると言われています。
したがいまして、この天空の気はきれいでなければいけません。空気がきれいであるだけではなく、それを入れるために適当な運動をしなければいけません。鍛練をしなければいけません。それから、呼吸は正しくなければいけません。胸だけでハッハッハッとする呼吸ではいけません。やはり下っ腹で、よく臍下丹田(せいかたんでん)と言います。丹田というのは下腹部のことです。このへその下に空気を入れるつもりで呼吸をするのです。つまり、腹式呼吸ということですね。気功をやっている方がおられるかもしれませんが、気功でもやはり腹式呼吸をやります。それはやはり天空の気をきちんと入れるためです。実際、腹式呼吸がいいことは西洋医学でも立証されていることです。
それから、「脾や肺をいたわって元気を損ねないようにすれば、老いてますます盛んになる。自然の法則を無視して修養、摂生を怠る者は、早く老いぼれる」と、『素問』には書いてあるわけです。中国の本には寿命は100 歳から120 歳と書いてありました。これは、最近の西洋医学の方でも同じような年齢を言っています。
不摂生の患者さんというのは、基本的に治るものではありません。薬は治ったときの一時的杖であったはずです。ところが、最近現代医学が進歩するとともに私たちは、体に弱いところか悪いところがあればそれを薬で補えばよい、あるいはほかのもので置き換えればよいと、短絡的に物事を考えがちな気がします。つまり、自然治癒力を忘れているわけです。これは西洋の医者も悪いですね。そういうことを生かすような方向で患者さんを指導していないような気がします。最近は、どうして体が弱くなったのか、その原因を考える余裕がありません。忙しいのでしょうかね。何かすべて忙しい、忙しいでごまかしています。そういう態度を日常的に毎日繰り返しています。そういうのが現代人ではないでしょうか。食養では、生体が本来持っている自然治癒力を損なわないように、それを損なう原因を謙虚に追究しています。
これからお話するのは、玄米菜食の一例をお目にかけるわけです。このあと12枚献立が出てきます。 これは1月の献立です。これは砂糖や油などを一切使っていません。私は料理のことはあまり得意ではありませんので、いちいち触れませんが、とにかく化学調味料は一切用いず、塩、コショウ、昆布のだし汁などを用いて作られていました。重詰めは、焼き豆腐、昆布巻、ニンジン、サヤエンドウ、ゴボウ、サトイモ、レンコン、クワイなどが入っています。この盛り皿はもちろんシイタケで、真ん中にあるのがユズ皮の水飴煮、菊花カブラ、お雑煮です。餅はいいのですが、とにかくカロリーが多いですし水がかなりあります。餅をたくさん食べると、むくむと考えています。それからかなりバランスが悪いので、やはりたくさんの野菜といっしょにとることが大事だと言われています。それから、ユリの根の含み煮、ニンジンとダイコンのなます、黒豆です。
冬は体を温める食品を主とした生活をします。冬で注意すべきはミカンです。あれはかなり冷やします。ビタミンCを採らなくてはいけないとおっしゃる方は皮を食べてください。そうですよね。皮の方がたくさんビタミンCがあるのですから。やはり、私の言うことはきついですかね。(笑)
食養家はとにかく人によって違うと言いましたが、そうしますと理論が大事ですね。ところが、食養家に問題があるところは、その理論が人によっては机上の空論に走ってしまう人がいます。例えば、こういうものがあります。「火を通して煮て形が崩れるのは陰が強いのだ、したがって、イモや果物は冷やすのだ」という説です。確かに果物は冷やしますが、イモは必ずしもそうではありません。こういうものはいわゆる机上の空論へ走りすぎた理屈です。
植物を根と葉っぱに分けますと、陽陰のファクターから言いますと、陽のものは下に行きます。陰のものは上に行きます。固いものが陽です。固くないものは陰です。したがいまして根は陽で、葉は陰です。例えば、カブを食べるとします。家族の中で、より陰の強い人は陽である根の方を食べなくてはいけない、陽の強い人は葉を食べなくてはいけない、こういう理屈になってくるわけです。実際にそうかというと、漢方的に見ていますと、それは言いすぎかなと思います。確かにそういう傾向はあるのかもしれませんが、少なくとも漢方治療をするうえでは、ほとんど問題になりません。それほど窮屈なものではないと思います。
なぜそう考えるかといいますと、例えば、陰陽というものが、ものさしのように測れるとします。例えば、ここをゼロとします。ここから陽1、陽2、陽3、こちらも陰1、陰2、陰3と分けられるとします。ジャガイモはここ、カブはここ、などと決められるとします。ですから、ゼロの基準をどこにおくかということが問題なのです。人によって違うわけです。自分は基準をこの辺に置くとしますと、ここにあるものは陰になりますし、あるいは陽にもなるといった具合です。食養家の先生方の話を聞いていますと、どうもそういう違いがあるようです。
ところが、我々が漢方をやっていますと、わりとそれが一定なのです。なぜでしょうか。漢方では、陰陽は薬によって2000年前から決まっているのです。陽の人は陽の薬、陰の人は陰の薬と決まっています。違ったら効かないのです。ということで、漢方の古典的なことをやっていますと陰陽の基準というのは大体決まってくるわけです。そういう意味で、私は食養でも漢方をやっている先生の言うことなら信用しますが、そうでない人は、はっきり言って怪しい人と思っています。
例えば、四逆湯という薬があります。これは陰の虚証の人の薬です。中にショウガが入っています。これは体が冷えているときに飲むととてもおいしいです。少しも辛くありません。ところがその冷えがとれてきて、元気になって陽になっていくと、非常に辛くなります。これは本当です。漢方薬や料理というものは、体調によって味覚が少しずつ変わっていくということを、おそらく考慮されて作られているとしか思えない事実はよくあるのです。
陰の食物、陽の食物について、お話します。私の先生である小倉先生の本からとったものですが、今まで申し上げたことをまとめたようなものです。陰の食物の代表は、果物、生野菜、青汁などです。よく青汁療法というものがあります。皆さんもどこかで経験された方がいるかもしれませんが、青汁というのは、やはり陰のものです。ですから陽の人にはいいです。陰の人はかえって冷やすだけです。それから、氷、アイスクリーム、この辺は皆さん納得されるでしょう。本当は夏だけでしたよね。今では一年中あります。私は決して嫌いではありませんが、冬はさすがにあまりとりません。砂糖、酢の物。酢の物も冷やします。植物性脂肪。これは個人差があると思います。
この小倉先生という方は、本当に人によって違うべきものを正しい道とは何かということで、食養の道を追求されたのです。つまり、オンリーワンの食養を目指されたのです。それはそれで参考になりますが、植物性脂肪までダメと言われると厳しいですね。
それから、牛乳は温めても冷やすという説があります。普通に飲めば、まず冷えます。牛乳を飲むのはどんな人か、赤ちゃんです。赤ちゃんは熱のかたまりですからいいのです。では、お年寄りに牛乳はだめかと言いますと、そうも言い切れません。実は、年をとれば必ず冷えるわけではありません。お年寄りはいつも陰だとは言い切れません。長生きをされる方はたいてい陽の方が多いですから、何とも言えないのです。しかし、とにかく牛乳は冷やします。冷える人はやめるべきです。それから、ビール、ぶどう酒、焼酎、ジン、こういう醸造系のものは冷やすとされています。
代わって陽のものです。では、何を食べればいいのか。要するに、加熱された温かい野菜です。塩の利いた食品。太陽で乾かしたもの。例えば柿は食べるのでしたら干柿、あるいは大根は生よりはタクワン、すなわち干したものということです。重しをかけたもの、貯蔵日数を経たもの、動物性食品、日本酒、このようなものです。では、動物性食品ならいいのかといいますと、過ぎればやはりお血を作ったりすることになります。やはりバランスではないでしょうか。
2月の献立です。ミソ汁の具はワカメとサトイモです。そして玄米のごはんです。少ないでしょう。あとで申し上げますが、小倉先生は1日1食なのです。1食ですから、これだけものを作れるという気もします。主菜は洋風鍋と言っていますが、肉はありません。ロールハクサイ、ニンジン、カリフラワー、シイタケ、長ネギが入っています。そしてレンコンとニンジンの煮つけ、そしてフキミソです。スリ大豆、小松菜とセリのおひたし、ナメミソです。
今度は、普段食べているものの漢方的な効能です。薬能と言っていますが、これについて少しお話しします。
まず豆類で、赤小豆(シャクショウズ)、要するに小豆です。小豆はどういうものとして使われているか、一言でいうとむくみを取る薬です。利尿作用があり便通をつけます。できれば、甘みをつけないものがよいと言われています。古典に書いてあるのですが、甘くて、冷やして、小便を出して、腫れを消して、吐き気を止めて、下痢、酒病を治します。漢方では、肝硬変で腹水の人、本当に末期の方に小豆を使うことがあります。小豆と鯉を一緒に煮るのです。ぐつぐつと鯉の身がなくなってしまうほど煮て、残った小豆だけを食べるという治療が漢方にあります。これは、いわゆる肝硬変の末期で、腹水がたまっている人に使います。末期はかわいそうなのですよ。おしっこを出す薬をたくさん使ってもなかなかおなかのはれが引かない。そういうときにこの鯉と小豆を煮たものの小豆だけを食べます。そうして腹水が減ったという症例を3例ほど知っています。なぜ3例しかないかといいますと、なかなかこの治療は大変なのです。福岡町まで行って鯉を買ってこなければいけませんから本当に大変なのです。作るのも大変で、半日は煮こみます。ほとんど料理のような薬ですが、そういったときに使うわけです。
次が黒大豆です。お正月によく使います。実は、古来、解毒作用があると言われています。今風に言えば、抗アレルギー作用があるとも言えると思います。また利尿作用があります。甘くて、少し冷やします。微寒と書いてあります。水を出して、熱を抑え、血をよく巡らせて、いろいろな毒を解毒するというようなことが書いてあります。いわゆる黒豆です。お正月に黒豆を食べるのはそういう解毒的な意味もあったのでしょうね。お正月は新鮮なものが、なかなか食べられませんので、どうしても貯蔵したものになりますよね。そういった関係で黒豆を食べていたのではないかということが想像できます。大豆は畑の肉と言われるように、植物性たんぱく質としても大変優秀なものです。いわゆるミソ汁のミソ、あれも古来解毒剤として考えられていたようです。確かにそうですよね。ミソをつけて食べれば、大体あたらないのではないかという気がしますよね。日本の料理というのは、昔の人たちの知恵というのはおもしろいですよね。無意識にやっていますが、ミソがベースになっていれば解毒剤になっているということなのです。
豆腐は、江戸時代の本に効用が書いてありました。これはもちろん今の豆腐ではなく、にがりで作った豆腐についてだと思います。これは胃腸の機能をくつろげて(変な言い方ですがほかに言いようがありません)、気を増し、おなかのはりを取って、大腸の濁気(腸内で、ぐじぐじいっているもの)を整え、熱を冷まして、血を巡らせる。これが豆腐であると言われています。
次は3月の献立です。すまし汁でセリ、豆腐です。主食の草餅はたぶん玄米で作ったのでしょうね。草餅にキナコと白ゴマとショウユ焼き、副食はノビルとタクワンです。煮つけはスリ大豆のダンゴだそうです。結構、手が込んでいます。シイタケ、昆布、ニンジン、サトイモ、コンニャク、ゴボウ、サヤエンドウということです。そして菜の花のおひたし。他にワカメとネギの酢ミソあえ。こういうものが3月の献立でした。
今度はイモです。イモの効能についてです。イモは、ここではヤマイモ、サトイモ、サツマイモと3つ出しています。文献的には、ヤマイモは温めるそうです。温と書いてあります。サトイモは涼、冷やすそうです。サツマイモは平、平らという意味ですが、つまり冷やしも温めもしません。サトイモというのは冷やすのでしょうか。確かに一番どろっとしていますよね。陰陽で言いますと、イモの中では一番陰が強いかもしれません。
サトイモは便秘にいいそうです。それから解熱、炎症を抑える作用があるのでしょうか、解熱効果があるそうです。昔の本には「胃腸をくつろげて、のどの乾きを止めて、大便を通し、お血を取る」と書いてあります。
これに対してヤマイモです。これはたくさん書いてあります。値段が高いだけあります。老化防止などと、のっけから書いてあります。それから「消化を促進して下痢を止める、頭をよくする」。これは本当かどうか知りませんが、中国では頭をよくしたいがために子どもによくヤマイモを食べさせるそうです。もちろん精力増強、糖尿病やおしっこの異常に対して効きます。漢方薬で八味丸という薬があります。よく薬局の店頭などでも出ていますのでご存じの方も多いかもしれませんが、八味丸のうちの重要な薬がこのヤマイモです。
というわけで、ヤマイモについては、いろいろな効用が書いてあります。「味は甘くて、温める。やせた、虚した状態を補って、悪い毒気を除く。気力を増して、長く飲めば耳、目を聡明にし、身を軽くし、飢えない、年を延ばす」と、すごくいいことばかり書いてあります。これは栄養学的には、確かにちょっとでんぷんが違うらしいのです。これはそのまま食べられます。普通は、大体熱を通さなければ食べられませんよね。何か少し蛋白が違うそうです。ヤマイモは漢方薬そのものと言っていいと思います。
サツマイモは普通のことしか書いてありません。「虚しているものを補い、気を増し、胃腸を健やかにして、腎の陰を強くする」と、とおりいっぺんのご挨拶のような感じです。
4月です。4月はミソ汁はワラビ、サヤエンドウです。主食は玄米です。副食はクコのおひたし、アスパラガスのピーナッツたれだそうです。ピーナッツたれも決して買ってきたものではなく、ピーナッツをつぶして作ります。豆腐、タケノコ、そしてワカメとキャベツのおひたしだそうです。
今度は野菜類です。ライフク(大根)です。これは胃腸病に効くそうで、便秘によいそうです。他には炎症を抑えるそうです。これはおそらく大根おろしにすると炎症を抑えるということでしょう。よく民間医療で、大根おろしを患部に当てて痛いところを抑えるという話を時々聞きます。そういった作用は珍しくないことのようです。それから、鎮咳(せきを止めて)、痰を抑えるということもあります。昔の本には何と書いてあったか。「穀(コク)を消し」というのは、食べたものを消化します。「痰液」というのは水毒です。むくみなどを取ります。「麺毒」、麺毒というのは、ウドンやソバの毒でしょうか。健胃作用があるということなのでしょう。「大根の生は、のどの渇きを止めて胃腸を健やかにし、葉っぱも大体同じような効果がある」と書いてあります。葉っぱも捨てられませんね。
ニンジンです。ニンジンはコラフと言っています。ビタミンAが豊富に入っていることは栄養学でご存じかと思います。そして葉酸も入っています。そういうことで、貧血、冷え性、低血圧、夜盲症、強壮、美容ということです。ニンジンは少し温めるのでしょうか。大根も少し温めるということです。
それからネギ、これも温める薬です。消化を助けて解毒作用があります。漢方薬ではネギを下痢のときに使うことがあります。タマネギはスタミナ強化作用、血管強化、これはどこから引っ張ったのかなと自分でも思うのですが、そのようなことが書いてあります。
それから、大蒜、ニンニクです。ニンニクは諸説あるのですが、やはり温めるそうです。健胃、消化吸収、冷え性、夜尿症によいということです。民間医療でもよく使われます。しかし、冷やすという説もあります。よく肉にニンニクを合わせてやると非常によい、おいしいと言います。肉は陽のかたまりで、それと合うのだから陰に決まっている、冷やすのだという説もあります。どちらが正しいかわかりません。皆さんが自分の体で試してみてください。本当にこれはわかりません。ちなみに、私は焼いたニンニクは温まると思います。しかし、ニンニクを生に近い状態で食べると、冷やすような気がしています。それは、僕自身がやや陰の虚に近いものですから冷えやすいのです。これを陽の人が食べたら、たぶん違った反応を起こすのではないかと思います。
それからラッキョウです。ラッキョウは実は漢方薬でして、狭心症に使います。えっ?と思いませんか。でも本当です。
次に5月の献立です。ミソ汁の具はミツバとシメジです。福神漬があります。ワラビのおひたし。八宝菜だそうですが、もちろん肉はありません。キャベツ、サヤエンドウ、ニンジン、タケノコ、シイタケ、タマネギ、大豆、クルミが入っています。何でも大豆を使います。大豆は大変です。毎晩寝る前に大豆を水に浸して、翌朝になって調理し始めます。なぜ生を使うか、大豆を加工した豆腐やそういうものをとればいいではないかと思われるかもしれませんが、そういう加工品をとっていると、よくわかりませんが貧血が進むのだというのです。
今度はお茶です。お茶には興奮剤が入っているものもありますね。消化を助けてのどの渇きをいやして、眠気を覚まし、頭をすっきりさせ、のどの痰を除きます。
ニラも使います。これは温める方です。胃腸の冷えを治します。
ショウガも温める薬です。これは胃を温め、吐き気を止める、食欲を増す作用があります。ショウガは漢方薬では大変よく使います。特に吐き気止めです。これは胃の動きをよくします。皆さん、お寿司屋さんに行きます。お寿司を食べます。ガリを食べます。あれは解毒もありますが、今、胃の動きをよくすると言いました。つまり、お寿司を食べます。おなかがいっぱいになりますよね。そして、ガリを食べます。解毒と同時に胃の動きをよくしますから、また胃の中がすくわけです。そこでまた注文し寿司屋がもうかるというわけですので、ガリは気をつけて食べるようにしてください(笑)。ショウガとはそういう作用を持っています。漢方薬としても大変よく使います。なるべく生のショウガの方が、吐き気を止める作用が強いと言われています。
次はゴマです。ゴマは本当によく食養では出てきます。いろいろな食養家がいますが、ゴマをけなす食養家は一人としていません。本当にいいのでしょうね。これは腎を潤し、筋骨を固くし、髄脳を養い(気合いが入っていますね)、五臓の機能を補い、長く服すれば身を軽くし老せず(老化しないということです)。どうも、ヤマイモの次にゴマを重視されているようですね。
梅干しです。梅干しも漢方薬です。吐き気のときに使います。これは腸のぜん動を盛んにして便通を改善する、下痢を止める、消化液の分泌を促進をすると言われています。
ソバです。ソバは微寒だそうです。少し冷やすのです。のぼせている気をおろして、腸をくつろげて濁体(水毒でしょうか)、下痢をしていたり、おなかが痛んだり、熱気など、そういったものを治します。炎症を抑えるのでしょう。そう言われています。食養の世界でソバはよく使われます。がんの末期に使うのです。例えば、熱湯でこねたソバガキを主食にして、おかずも絶対完全に菜食にしていくとがんの再発が予防できるという話をよく聞きます。本当かどうかわかりません。しかし、こういう話も聞きます。それで元気がついたが、あるときどうしても自分の好きなビフテキが食べたくなって、食べたとたんに、がんが進展して死んでしまったという話です。この手の世界の話は半分うそだと思っていますが、あまりにもあちこちからそういう話を聞きますので、きっとそれはそれなりの真実があるのだろうと思っています。ただし、どの程度の真実なのかはわかりませんが。
こういう話もあります。今、私は直接患者さんを受け持っていませんが、受け持っていたころは抗がん剤をやりました。抗がん剤は本当に副作用が強くて大変なのですが、うまくはまると本当に寿命を延ばすことができる場合もあります。但し、栄養状態をよくしないと投与できません。それで栄養状態をよくしたうえで抗がん剤をやったりします。ところが、あるとき、ただ単にがんで衰弱した患者さんに栄養剤を与えたら、かえって衰弱が進んで、がんが進行してしまったかなと思えるような症例を経験したことがあります。おそらく、内科でがんを診ている人はこういう経験が何度かあると思います。そういうこともあります。実際に栄養を与えすぎると、かえって病気の方に栄養がいってしまうことがあるような気がします。一概には言えません。しかし、もしそういうことがあるのだとすれば、ソバだけで低カロリー状態にしていけば、がんの進行も少し止まるか、勢いが落ちるぐらいの効果はあるのかもしれません。しかし、生体が持つかどうかというのはケースバイケースだと思いますが、そういった話があるということです。
6月です。副食はつぶし大豆を用いたキャベツのあんかけだそうです。凝ってますね。そしてキャベツとアオジソの一夜漬けです。あと夏野菜です。コンニャク、インゲンにミソですかね。そして、スリ大豆のダンゴとグリーンピースでしょうか。
やっと夏です。夏野菜は冷やします。涼です。キュウリ、トマト、ナス、みんな冷やします。キュウリは体熱を発散して体を冷やします。ですから夏にいいのです。利尿作用、のどの乾きを止める作用、胃腸を強くする、消炎作用があると言われています。
トマトは肉食民族には欠かせない野菜です。肉を食べるヨーロッパ人などには欠かせません。「トマトさえあれば病気にならない」などと向こうの食養家は書いていますが、それは肉を食べるからです。私もトマトも食べますが、動物性脂肪の消化を促して有害作用を中和するそうです。肥満の防止にもなり、そして葉酸は貧血の予防にもなるということです。ビニールハウスの外は冬であっても、ビニールハウスの中は実は夏ですよね。食養の考えに立てば、冬にトマトを食べてはいけません。そういうことになります。考えてしまいますね。もう、そういう生活に慣れ親しんでいますから。
「秋ナスは嫁に食わすな」と言います。これは決して姑がいじめているわけではなく、ナスはやはり冷やすのです。ですから、嫁の健康を気遣って食わすなと言っているのです。これが本当の話です。ナス自体は炎症を抑えて、血の巡りをよくして、解毒して、沈痛作用があるということで、いろいろな効用があります。
これは食養の心得として覚えておいてほしいのですが、夏は胃腸が脾虚、すなわち消化吸収系の働きが落ちます。そうですよね。暑くて。それからあと水毒に注意です。のどが渇いて、がばがば水を飲みます。冷たいものばかりとります。そうして体力を消耗してしまうのです。夏は暑くても熱いお茶を少量すするなど、なるべくそういう方向にして体力の消耗を防げと書いてあります。夏に体力を消耗しますと秋に体調が悪くなります。例えば、ぜんそくの人などは秋に発作をよく起こしますが、たいてい夏を乗り切れていません。夏は調子がいいのです。ただ、夏の調子のいいときにきちんと養生しないがゆえに、秋になって発作を起こすと考えています。
漢方の外来をやっていますと、夏は患者さんが少ない印象があります。それは、みんな体調がいいからです。つまり冷えているから夏は大体調子がいいのです。秋になって冷えてくると、にわか症状、頭が痛くなったりおなかがおかしくなったりして診察にやって来られるのです。
7月になるとようやくトマトが出てきました。これはトマトシチューです。私も実は食べたことがありますが、大変おいしいです。シチューですが、やはり肉は入っていません。バレイショ、タマネギ、ニンジン、大豆、インゲンが入っています。玄米。それから、しぎ焼き。ナス、ピーマン。キュウリとタマネギのピーナツあえ。そして酢ミソだれと書いてあります。
さて、今まで出していた料理を作っていたのは、小倉重成先生という方です。
食養家と言われる人でもいろいろな人がいまして、いろいろな流儀があります。今日の料理はこの先生の例を出させてもらっています。もう亡くなられた方です。私の漢方の師匠は寺澤ですが、私をこの道に導いてくれたのはこの小倉先生です。恩師です。恩師と仰ぐからには普通批判はしないものですが、私は非常に不肖な弟子ですので、あえて批判もしてしまうわけです。草葉の陰で今ごろ泣いておられるかもしれません。
さて、なぜ不肖の弟子かといいますと、それは教えがあまりにも厳しくて、とても守り切れないからです。それがこの先生の欠点です。どのような教えかといいますと、玄米菜食1日1食、マラソン1日10km、あるいは縄跳び5000回、これを患者にやらせるのです。ご自分でも実践されておられました。それは、いろいろな重症疾患を診ていると、やはり運動をさせるとよくなっていくとか、食べすぎを是正するとよくなるとか、そういう経験があります。診療所ですから、診療患者は20人もいません。ですから、同じ料理にせざるをえません。重症患者がいると、給食の内容は、どうしても厳しい方へ厳しい方へシフトしていきます。本来、食養というのは個人個人で違っているはずなのですが、厳しい方へ行っていたわけです。
実は、私は学生時代体が弱くて、こちらに入院させてもらったことがあります。試験前なので4日で出させてもらったのですが、本当は、ここの入院患者さんは1日1食で、マラソンを10km走れないと退院できません。試験前なので勘弁してもらいましたが、昼間病室で寝ていると「ここへ何しに来たのだ」と怒られます。「どんどん走れ」と怒られたものです。
8月です。やっと真夏の8月になって生野菜のサラダが登場しました。ミソ汁は、ナス、インゲン、ミョウガです。煮つけはロールキャベツ、粉ふきイモ、ニンジン、ピーマンです。
この小倉先生は、一種の実験を一生を通じてしてくれたことになります。先生は、人として正しい道の食のあり方は何かということを模索されたわけです。先生の著書に『無病息災の食べ方(緑書房)』という本があります。これに献立などがよく書いてありますので、その項目に合わせて少しお話ししたいと思います。
正しい食べ方の基本として、まず調和のとれた食物をとる、「一物全食」ということばがあります。つまり、「一つのものは、生き物はその体で生きてきたのだから、それが完全なものだ。だから、それを部分的に食べたり、つぶして油だけをとって食べたり、そういうやり方は不自然である」というのです。当然、白米よりは玄米の方がいい。特に玄米は、ある説によると非常に燃え方がいいそうです。白米は燃えかすがいっぱいあり、非常にむだが多く、体の負担になるそうです。ですから、玄米を食べるべきだという理屈です。調和のとれた食べ物とは、まけば芽が出るもの、必要以上の加工をしていない食物であるということです。確かに加工品を食べて、ビタミン剤をとっている人というのはかなり多いのですが、考えてみれば不自然なことですよね。
次に、動物性食品を避ける。私も小さいころ体が弱くて、よく親は「栄養をとれ。栄養をとれ」と勧めました。当時は肉は高かったのです。なかなか食べられませんでした。ですから、もう食べられませんが、クジラの肉などを食べていました。今、肉は本当に安く手に入るようになりましたが、今の子どもたちは体力がついたでしょうか。体は大きくなりました。ですから、瞬発力、敏捷性は伸びたそうです。しかし、基本的な筋力、持久力が低下していることは、新聞等で皆さんご存じのとおりだと思います。「それは食事のせいばかりではないよ」という人もおられましょうが、食事の影響は大きいと思います。
貝原益軒という方をご存じかもしれません。『養生訓』という本を書いた方で、この方の本の中に、「子どもは小さく産んで、小さく育てろ」と書いてあります。今と違うでしょう。要するに、ウドの大木はだめだと言っているのです。小さい方が健康だろうということです。あまり小さすぎると今度は小人症などで心配になりますが、そういう病気はめったにあるものではありません。そう言われています。
3番目は油脂を避ける。ですが、これは僕はやはり病気によってだと思います。小倉先生がこれをやめ出したのは、ベーチェット病という病気のためです。これは膠原病で、体中に炎症が起きる病気で、失明してしまうのです。目が見えなくなってしまいます。あるとき視力が大変落ちている人がいて、給食にゴマ油の入っているものを出したら、その晩から目がつぶれた症例があったそうです。それ以後、小倉医院ではゴマ油も使わないようになったそうです。また、油の多いもの、例えばピーナッツなどは天然物もだからいいかというと、食べすぎるとよくありません。あれは千葉では「かたき豆」とか「敵豆」とかいいます。つまり、食べたあと「このやろう」と言ってやめられないのです。あっという間に一皿食べてしまいます。そうしますとかえって害があります。
4番目に果物を控える。これも人、証によりけりだと思います。やはり陽でがっちりした、いつ見ても熱で真っ赤な顔をしている人には僕はいいと思います。でも、そうでない冷え性の人などにはよくないと思います。ビタミンCは美容食、健康食で、老若男女にかかわらずたくさんとれと書いてあるのですが、それはビタミンCについてだけです。果物をとることによって冷やした、その結果は考えていません。
それから5番、「身土不二」という言葉は何かでご覧になったかもしれません。これはいろいろな意味で使われますが、ここではその土地でとれる旬なものを食べろということです。極端なことを言いますと、農業を自分でやって自分で作らなければいけません。無理ですね。だけど、なるべくそうしようということです。
6番、加工食品を避ける。ある本によれば、我々は食品添加物を1年に2キログラムとっているそうです。本当かなと思いますが、それだけのものが体にいいわけがありません。アトピー性皮膚炎でしたか、人工着色料で炎症を悪化させることがあるということを指摘した研究報告があります。
7番、咀嚼玩味(そしゃくがんみ)です。この中で一番先にできそうなものは、この咀嚼玩味ですね。でも一番難しいのも咀嚼玩味かもしれません。よくかむことです。これはだ液分泌がよくなります。消化もよくなります。また、最近の研究によれば、よくかむことは頭の、痴ほうの予防にもよいと言われています。厳しい食養家は玄米を一口に100 回かめと言います。ご飯茶わん半分でせめて100 口とも書いてあります。白米ではだめです。玄米を食べたことがない方がおられるかもしれませんが、私は初めて玄米を食べたときはやはり100 回かみました。そうしますと10口ぐらいで味がなくなってきますが、20口ぐらいで香ばしい別の味が出てきます。それでも70口ぐらいでものがなくなってしまいました。そして大体ご飯茶わん半分食べますと、あごが疲れて食べる気がなくなりました。最初はです。慣れてくると、だんだん食べられるようになります。
8番、少なく食べる。小倉先生の教えでは、これが一番厳しいですね。1日3食というのは歴史が浅いそうです。例えば、日本では江戸時代の元禄に庶民の生活が豊かになってからだそうです。それまではずっと2食だったそうです。その前に来たポルトガルの宣教師などが日本を見ると、人間はみんなやせいていて一見病人風だが、意外に病人が少なくて驚いたと書いてあるそうです。だから昔はよかったというつもりはありません。ですが、食事についてはそうだったのです。何にしても1日3食食べるというのは、日本人としては、いいところまだ200 年と少々ぐらいなのです。
たくさん食べるとどうなるか?体格はよくなったが、成人病が増えてきたのですね。お相撲さんはたくさん食べますが、総じて短命です。小倉先生のところが1食なのは、2食でやってもよくならず、1食にしたらよくなったという症例があったからなのです。
私自身は一時、玄米菜食をやっていまして、1食を半年やったことがあります。断食も1週間やったことがあります。思っている程ひどいものではありませんが、なかなか人には勧めていません。なぜかというと、それは、栄養学的常識とは違うからです。ただ、慢性疾患でいろいろやってもよくならないときは、初めて勧めるようにしています。世間の常識と違っていて、しかも相手の人生(食事は人生です)を変えてしまうわけですから、これは変なたとえですが、プロポーズと似ています。相手の人生を変えてしまうわけですから。初対面で言ったら、まず気違いだと思われます。だけど、僕という人間がわかってくれて、向こうも自分の病気がわかってくれたら、やってくれます。しかし、きちんと1年できる人はまずいません。できないのが、いいのかもしれません。完全にやると、いろいろ問題が生じることもあります。きちんとやっている方はまずいません。ですが、それに近づけると大体健康になっていきます。それは本当です。
例えば、リウマチの患者さんがいます。関節が非常に痛い、何をやってもなかなか効かないという人が、あるときかぜをひきました。最近のかぜはおなかにきます。食べられなくなって、何日か食べられない日が続きました。ところがその期間、関節痛が本当に消えてしまったのです。これはよくある話です。それから、やはりリウマチの患者さんで、お遍路さんをやる人がいるそうです。お遍路さんをやっているときは、痛みも何もないそうです。あとで聞きますと、そのときはとても食事の量が少ないそうです。素朴なものを食べているのです。ですから、少なく食べた方が病気にはいいらしいというのはあると思います。しかし、みんながみんなどの程度少なく食べなければいけないかというのは問題があると思います。
あと書いてありませんが、薄味にするということです。少なく食べるときは薄味にしないと、とてもじゃないがおなかがすいてしようがないです。濃い味で量を少なくしたら地獄です。本当です。薄味にまず慣れないと、量は少なくできないものです。
やっと9月の献立です。キュウリとワカメの二杯酢、ゴマミソたれ、シソ巻です。
小倉医院の食事の基本構成ですが、まず、玄米が2ないし4勺、大豆は30粒から40粒、豆腐、納豆など加工品は控えめにします。先程申し上げましたように、たくさん使うと貧血になります。それから小鉢1杯分程度、必ず海草類を入れます。そのほか旬の野菜を入れます。でんぷんが主の野菜、例えばカボチャ、ジャガイモなどのイモ類を使うとき、でんぷんは主食に準ずるものですから、玄米を減らします。徹底しています。
10月の献立です。野菜スープだそうです。シチューのようなものですね。大豆、バレイショ、ニンジン、タマネギ、山東菜だそうです。大根の赤漬。豆の花ですか。スリ大豆、ニンジン、インゲンが入っています。それからタタキゴボウのミゾレあえ。そして大根の葉のミソあえだそうです。
今度は玄米菜食の難点です。
最初「胃腸がもたれます」。本当です。3日間は腹が苦しいです。3日過ぎると慣れてきます。1日やって、私はだめだと思う人は実は結構多いものです。
「2、よくかまなければいけない」。これも本当です。白米と同じように食べると、むしろ害があるかと思います。
「3、たくさん食べられません」。食べられる人はいるかもしれませんが、私はたくさん食べられません。白米と同じ量食べるつもりで玄米を食べますと、あとで地獄が待っています。おなかが張って張って苦しくなります。よく言えば腹持ちがいい、そういうものです。
「4、調理が難しいです」。玄米は圧力釜で炊いた方がおいしいです。普通の釜で二度炊きするとまずいです。ゴマ塩をかけると美味しくいただけます。それにおかずも難しいです。油を使わない、砂糖を使わない、これだけで相当つらいです。調理が難しく、意外に手数がかかります。
「5、鉄欠乏」。ときどき、まじめに玄米菜食をやってくれる方がいます。まじめにやってくれる方に採血させていただきますと、貧血に傾いている方が多いです。ひょっとしたらいいのかなという気もします。貧血の定義というのは、あくまでも正常人と合わせてやっていますので、少しくらい貧血気味でも、病気がよくなればいいのかなと思うときもありますが、貧血に傾きやすくなるのは事実です。肉をとらないのですから、そうですよね。
「6、外食が困難になります」。これは私も困りました。外に行っても食べられないのです。ファーストフードなんてとんでもないです。
「7、子どもに玄米はむずかしい」。これが、今私が玄米をやっていない最大の理由です。というか言い訳です。子どもに玄米を食べさせるのはとても難しいです。気の毒です。僕は体が弱く、こういう商売をやっていますから、玄米でいいのですが、子どもには何の罪もありません。玄米はおいしいのですよ。一度食べてみられるといいのですが、とにかく子ども、特に小さいうちは胃腸の負担は白米よりも大きいですから、やはり考えてしまいます。
「8、精神不安になるときがあります」。玄米菜食1日1食をやってみてください。私は3日に1回ぐらい、発作的に食パンを半斤食べたりしました。なるのです。飢えるというのはああいうものかと思いました。本当にいい経験でした。
それから「適応」があります。もしひどい病気の方が、玄米菜食をやられるときは、やはり理解できる医者の判断を仰いだ方がいいと思います。実は、そんな医者はあまりいません。普通の常識ある内科医でしたら、1日1食などやめなさいと言うでしょう。それが常識ある答えです。しかし、その人が病気に苦しんでいて、ほかに手がないのであれば、私はお勧めします。ただし自分の責任においてやってください。できれば、ときどき報告してくれると一番ありがたいし、こちらも何かアドバイスできると思います。
11月です。呉汁、ワカメ、大豆、長ネギです。五目煮はニンジン、大豆、コンニャク、シイタケ、レンコンが入っています。大根の煮つけ、フロフキ大根のようなものです。小倉先生のところは1日1食だったのですが、ずるいのは1日1食に1飲が待っているのです。「飲」、お酒です。お酒が好きなのです。「それでカロリーをとっていたのではないか」と内輪ではよく非難されていました。ですが、それがあるので少しお話ができたかなという気がします。それもなかったら、こんなガチガチの人のところへ、誰もきっと学びに来なかったでしょうね。本当にまじめな方でした。
「断食」というものがあります。1日1食よりもっと厳しい断食というものがあります。これも食養です。食事の養生ですからね。断食の注意として、最初に「適応」があります。やはり体力の衰えた人はだめです。陰で虚の人は不向きです。
2番目には、「1日1升、2リットルの水を飲みます」。
3、「便は毎日出ます」。出してください。ひどい便秘になるようでしたらだめです。
4、「脈圧を20mmHg以下にしないでください」。血圧の高いものと低いものとの差を、脈圧と言います。これが20以下というのは、要するに心臓の機能が弱っている証拠です。これは危険な兆候です。
5、「復帰時に食欲増進に注意」。断食でよく失敗するのは、断食をやめて再開すると、異常に猛烈な食欲があがってきたときです。ここで、わっと食べると、体調をひどく崩すようです。そこを乗り切れる強い意志がないと断食はできません。これは本当に怖いです。したがいまして、素人療法は危険だというのはそういうことです。私は、断食を勧めたことは本当に少ないですが、あります。これは一種のショック療法でして、むずかしい病気がよくなる場合もあります。心配な点はとにかく低血糖です。食べないのですから、低血糖はきます。なりますが、ある程度慣れるものです。もちろん、低血糖症状が強ければ命にかかわりますので中止しなければいけません。その辺はよくよく見ていかないといけません。
それから6、「女性では月経が止まることがあります」。これはよくある話です。私も1人困った例がありました。断食後に月経が止まってしまいました。女性は本当にデリケートです。食事を止めるなんてことで、パタッと止まってしまいます。その方は病気がよくなったからいいのですが、気の毒なことをしたなと思ったことも確かです。
やっと12月の献立です。ケンチン汁だそうです。豚のないケンチン汁です。つぶし大豆、大根、レンコン、ニンジン、長ネギが入っています。鉄火大豆、要するに焼いたものです。ハクサイの塩漬、ワカメと長ネギのぬた、ハクサイの煮ひたし、ゼンマイと大豆の煮つけです。
どうでしょうか。皆さん、こういう食事は貧しい食事だと思いますか。私は食べたことがあるからかもしれませんが、きわめてぜいたくな食事だと思っています。こういう食事はどのような一流料亭に行っても食べられません。本当です。このような食事であれば、しかも1日2食ぐらいなら、誰でもやってみたいなと思われるのではないでしょうか。毎日作るのは大変ですが。
玄米菜食の話をしますと、私の亡くなった父を思い出します。父は、私が玄米を食べていると、「終戦直後の食べられなかった時代、みんなが栄養失調の時代、あの苦しい時代を思い出すから、オレは嫌だ」とよく言っていました。ここにもおられますが、私の親たちはそういった苦しい時代を通ってこられました。ですから、一生懸命働いて物質的には豊かな時代を作ってくれたわけです。しかし、栄養、栄養と叫ばれた時代に育ってみたら、今度は別の病気、別の問題が育っていました。
今や飽食はあたりまえで、それでしか健康感、あるいは幸福感を実感できない人が大部分ではないかと思います。たくさん食べるのは当然の生活、それができないのは貧しいという価値観の社会です。その社会が、今経済の低成長期に入ってきました。こういうときにどのような幸福感を考えていくのか、そういうことを考えるうえで、この食養というのはとても重要な考え方ではないかなと思っています。
運動の話をしようと思っていました。これは運動不足の話です。
運動の名言です。鍛練の名言です。
1、「一身動けば、一身強まる」。動けば強くなっていくのだよということです。
2、「流水は腐らず。戸ぼそは虫食わず」。戸ぼそというのは何かといいますと、開き戸の戸棚の軸になるところ、動くところです。つまり、戸棚は腐っても軸になるところは腐らないということです。要するに動いている部分は腐らない、流水も腐らない、虫も食わないということです。
3、「人間、足からあがる」。足を使わなくなったらだめだということです。
4、「隠居3年」、この中にもそういう方がおられたらすみませんが、隠居して3年安静生活をしていたら病気が待っているという話です。例えば、40代の働き盛りの人が3日間、人間ドックなどの理由で安静臥床したとします。その体力が回復するのに1か月では利かないという話があります。若くても年をとっても、やはり、運動は必要なのです。
望ましい運動メニューです。どの程度行うべきかについては、食養と同じで種々の意見があります。エアロビクスという言葉をはやらせたクーパーさんという博士がいます。エアロビクス効果というのは肺から取り入れた酸素が全身の組織に行きわたり、体の組織を若返らせるという話です。このエアロビクス効果を維持するには「週に3回、毎回少なくとも30分は運動する」、「その運動量は疲労を感じ、少し動悸がして、全身が汗ばむ程度がよい」と言われています。週3回です。これは週1回だと体に悪いのです。週3回分まとめて、1回に運動をするとだめなのです。大体3日過ぎたらエアロビクス効果はなくなるそうです。ですから、少しずつやるのがいいです。
運動不足の人には、私は「とりあえず歩きなさい」とまず申し上げます。「できれば、少し汗ばむ程度に歩きなさい」と言うようにしています。もちろん心臓が悪い人などもいますので、そういう方は少し動悸がしてというのも怖いですから、その辺はよくよく心臓と相談してやっていただきたいわけですが、一応これが一つの基準になると思っております。
これが最後のスライドです。
これは、小倉先生がマラソンをしているところの写真です。この写真は、あるマラソン雑誌に載った写真です。小倉先生は晩年こそ足を骨折されて走れなくなりましたが、60代前半まで毎日10km走っておられました。やせてはいますが、上半身は裸で、笑顔で走っておられます。
人生というのはよく、走ることに例えられます。養生というのはおそらく、安静でたくさん食べることではなく、このように人生を飾らずに、自然の姿で走っていくことだろうと思っています。
ほかに心(こころ)のことなどをお話ししなければいけませんが、私はまだ修行が足りません。
21世紀は脳の時代だと言われています。つまり、神経内分泌といって神経からホルモンが出て体に対する影響、そういったメカニズムが解明され始め、心と体の問題が密接な関係をもっていることが、だんだんわかってきています。
それから、本日の私の話が珍しい話だなと思われたら、それはこの漢方の話を学校などでしていないからです。陰陽の話などを大学の医学部などで話すのは、あまた医学部がある中で、富山医薬大だけだと思います。もし、本当に日本が伝統を守る真の文化国家であるならば、この程度の話は、日本人の文化、あるいは一般教養の次元でとらえるべき話ではないでしょうか。私は右翼ではありませんが、今の人たちは、敗戦により戦前の考えに自信がもてないようになっている気がします。その自信のなさが、今の政府の財政破綻などと、どこかでつながっていると思います。
漢方がどうして学校で話されないかといいますと、明治30年くらいの日清戦争の翌年、次はロシアだぞという時代に、軍隊を強くしなければいけないというところで、当時の国会決議で漢方は医療として見捨てられました。以後100 年以上にわたって漢方は見捨てられてきました。平成5年に富山医薬大に和漢診療学の講座ができました。今から4年前です。本当に100 年間無視されてきたわけです。やっと始まったところなのですが、今国会でも保険財政のひっ迫で、医療費の値上げとともに、漢方薬を除外しようとする動きがあるようです。漢方薬の考えに立てば、一人の患者にたくさんの薬を飲ませるようなことは本当にやりにくいのです。自然に減っていきます。何しろ陰陽虚実をみていきますから、たくさんの薬を与えられるはずはないのです。また、普通のお医者さんは学生時代に漢方を習っていませんが、今、いろいろな講演会や本などで勉強していらっしゃる方はたくさんいます。国会議員自体はお金持ちが多いでしょうから、あまり漢方の薬代などに苦労したことはないかもしれませんが、もう少し勉強していただいて、漢方を削るなどという議論がないことを祈ってはいますが、今はまだわからないところです。
この漢方を知っていて西洋医学をやりますと、西洋人と違った発想ができると思います。例えば、明治期に鈴木梅太郎という人がビタミンB1を発見したそうですが、これは漢方の考え方がヒントになっていたそうです。今、日本の医学は、もちろん国際的な学者はたくさんいますが、基本的にはやはり欧米から学んでいます。逆に、日本から世界に輸出できるのは、この漢方医学の発想に立った考え方ではないかなと思っています。
最後によけいな話になったかもしれませんが、本日の私の話が、皆さんの健康を考えるよい機会となっていれば幸いに思います。どうも長い時間ありがとうございました(拍手)。
<参考文献>
高山宏世「いのちを養う漢方講座」(葦書房)
岡本一抱「和語本草項目」
小倉重成「無病息災の食べ方」(緑書房)
小倉重成「自然治癒力を活かせ」(創元社)
(伊藤、富山医科薬科大学医学部和漢診療学講座在籍時の講演録)